Report 振動の豆知識

振動試験シミュレーション

未来の安全・安心のために

IMVではこれまで実試験でしか確認できなかった振動試験中の供試品の振る舞いを
デジタル空間で正確に予測する【振動試験のバーチャル化】に取り組んでいます。
試作と実験を繰り返す製品開発のプロセスを改善し、
お客様製品の開発期間とコストを圧縮するサービスの提供を目指しています。
ここではデンソー様のご協力を得て行った、自動車用電装部品の振動試験シミュレーションについてご紹介します。

振動試験バーチャル化における課題

課題は、シミュレーション結果と実試験結果が異なることでした。
それは製品のモデル計算(周波数応答解析)を行うときの理想入力(振動試験の条件)と、理想と異なる入力 (実試験時に発生するストレス=【現実】)が存在するためです。

  • 理想

    振動発生機(加振機)は考慮しない
  • 現実

    振動発生機(加振機)は有限剛性・有限質量

課題解決に向けたIMVのソリューション

課題解決するために振動試験装置 (製品と治具、電気制御系モデルを含む)のモデル化を行いました。

1. 振動発生機(加振機)モデル作成

振動発生機(加振機)モデル作成

2. 電気・制御系モデル作成

電気・制御系モデル作成

デンソー様との取り組み

振動台上のクロストーク※値を試験前に予測することを目指して、以下の手順で行いました。

※クロストークとは…加振主軸と直行する方向への横揺れ

  • a振動試験装置、治具、供試品を含む数値モデルの作成
  • b上記を使った振動試験シミュレーションにより、供試品取付点の3軸加速度応答を求める
  • c実加振結果と上記b)の結果比較を行い振動試験シミュレーション手法の妥当性を評価する
a

c「加振可否判定」「応答加速度」「加速度分布」「3軸加速度」などがわかります。

  • 「加振可否判定」「応答加速度」「加速度分布」「3軸加速度」などがわかります。
  • x
  • y
  • z

本取り組み結果と今後の課題

結果
  • 振動試験装置、治具、供試品を含む全体系のシミュレーションが実施可能であることを確認
  • 供試品取付点の3軸加速度応答が10~2000Hzの範囲で比較的精度良く予想できることを確認
課題
  • シミュレーションの精度向上に繋がる更なる調査・手法改良
  • 供試品モデルを使用した振動試験シミュレーションの精度確認と精度向上への取り組み
  • シミュレーションに関わる一連の作業の効率化、自動化